断熱・防音・結露防止などのご依頼、新築・リフォームどちらでも承ります。



コラム

第2章 間違いを指摘する
1の間違い 空気と水蒸気を混同
大変な間違いを犯したものである。隙間風を塞ぐには空気だけが壁の中に入らないようにすればよいはずである。水蒸気は隙間風とは関係がない。空気と水蒸気は別のものであって、透湿シートを貼れば空気のみ遮ることが出来て、水蒸気は自在に通過する。絶対的な高気密を得ることが出来る。 現在の建築界は、高気密・強制換気・内張り断熱、外張り断熱、など等、百花繚乱のようでありながら中身は陳腐している。全部が「高気密」の名前の下に始まったのだが、その入り口で空気と水蒸気を混同するという、大間違をしてしまっているから助からない。 この時点で住まいと言う箱が、ビニール風船かペットボトルのような物になってしまっている。「これは変だ!何かおかしい!」ビビーッとこなければならないのに「猟師山を見ず」ついには地獄谷に入り込んだ。  結論を先に言えば「結露を知らない」ばかりに起こした大チョンボなのだ。
2の間違い グラスウールの厚み

グラスウールは昭和34年に北海道で発売された。断熱材の観念が無かったわが国の建築界にとってはとても貴重に重宝に見えたに違いない。事実、無断熱に比べて格段に暖かくなったのであるから。 しかし、その特徴を捉えないままに時が過ぎたように思う。当初のグラスウールは50mm/10Kgm3の裸であった。断熱材を扱ったことのない業界・官界ではK値の計算もせず、出来ず。(今もK値を計算できるのは稀である) 50ミリ1枚で断熱材として働くものと思っていた。(今日では北海道では天井300ミリとなっている)そこに今日のグラスウールの悲劇がある。    これが当初から300ミリであり、4地域で200ミリであったら、また違った結果になっていたのではないかと思う。  ともかくグラスウールの特徴を知らないまま、業界を教育することもなく急速に普及した経緯がある。 さらに悲劇は、もはや断熱材としては如何にも仕様のないものを、未だに最高品のように、それしかないというような取り扱いである。グラスウールを基準に熱貫流率を指示するなど止めなければならない。調湿しない建材は何の意義があろうか。

3の間違い 樹木などの透湿性を無視している

動物、植物、生物は分子構造を持っているので透湿する性能がある。 鉱物の中にも透湿するものがある。珪藻土は川の珪藻が一箇所に堆積して岩のようになった化石だが、鉱物とはいえない。 また、九州の火山灰シラスは、地中から高温と高圧によって膨張伸縮の結果、分子構造に似た特徴を持ち透湿する。 例え1メートルの大木であっても、水蒸気だけは易々と通っていく。これを呼吸するという。透湿を認めない、知らない大学者がいるので驚いている。

4の間違い 結露現象を無視している

結露は自然現象であるから阻止することは不可能である。人類は月にまで到達したが、自然現象を克服したことは一つもない。 風・波・日照・霧・雨 等など多くの自然現象があっても何一つ人類がコントロールしたものはない。コントロールしたと思うのは思い上がりだ。

5の間違い 木造住宅の意義を理解していない

木造住宅を希望する人が圧倒的に多いのは、樹木が含有するフィトン・チッド(ロシア語で森の殺し屋)を無意識的に求めているからに他ならない。森林浴と訳してもよい。 その樹木の内側をビニールで囲んでしまえば、フィトン・チッドは住まいの外側になってしまう。ビニールハウスの中に残る樹木は20%程度のものに過ぎない。ビニール風船、ペットボトルハウスは住宅でも獣宅でもない。

統括すれば、“壁の中に水蒸気を入れるな“という、第一歩で真実の全てを失ってしまって、地獄谷に入り込んでしまい動きが取れなくなった。しかし、自分が地獄谷に入っているのも自覚できない。それが現在の建築界である。 このままでは日本は疲弊する、すでに疲弊は始まっているではないか。

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